「でなお詩」管理人=編笠ふとしの自己紹介
文芸同人誌「厠の中」の同人。同誌のペンネームは、尼平攻としていま
した。昭和50年中央大学卒業。現在、広島県で、ささやかながら自由業
を営んでいます。
その他については以下で自己紹介に代えさせて戴きます。
「厠の中」復刊に際し----還暦に思う 編 笠 ふ と し
(題)赤いちゃんちゃんこ
還暦祝いの おれきれき
夕日で火をつけ 枯木を燃やし
もやし ピーマン 玉ねぎ焼いて
やまめの串刺し バーべキュウ
キューっと いっぱい 酔っ払って
腹いっぱいで バタンキュー
原っぱに脱いだ ちゃんちゃんこ
赤い情熱 余熱を残し
黒くもはらい つゆはらい
まだ まだ 人生 赤く燃え
めざすは かなた 地平線
掲載の詩は、かれこれ7〜8年前に書いたものだと思います。祝いの席の事ですが、他人ごとだ思っていたらしく、かなり気楽に書いた詩のように思えます。でも、早いもので、自分も今年、ついに還暦を迎えてしまいました。
あの年、還暦を迎えた女性が話したことを思い出します。彼女は異業種交流会のメンバーの一人で、公的機関の事務長をしていて、二人の立派な成人男子の母親でもあるのですが、妙に少女っぽい面影が見え隠れする面白い人でもありました。
----わたし、お金持ちにもなれなかったし、有名にもなれなかった。特別偉くもなれなかった。今までなれなかったのだから、これから、そうなることなんて無理な事でしょう。で、
考えたの。今から何ができるかって。そしたら、一つだけ見つかったの。「いい人になる」ことなのよ。別に何の資本がいるわけでもないし、なろうと思えば明日からでも、いえ、今すぐにだってなれるわよ。----
その時は、ふむふむ、なるほどなどと簡単に納得してしまっていたのですが、今、それを自分に当てはめようとしてみて、ふと気づきました。それは難しい。自分には無理な話です。なるほど、彼女は元々素直な性格だし、栄養士の資格も持っていて、それなりの接客業のノウハウをも身につけてもいたわけだから、彼女が今すぐ「いい人になる」と言っても少しも違和感はなかったわけです。ですから、つまり・・その話を自分の今後の生き方と関連づけて推し進めることの試みは、この時点で挫折したわけです。(汗)。
何ができるか----それで改めて考え直してみたのですが、やはり自分には詩でも書いてゆくことくらいしかないな、と思ったわけです。
学生時代「厠の中」では、主に詩を載せていたかと思いますが、それでもあの頃は、いつか自分らしい小説を書くんだ、と思っていました。でも、今から5年くらい前に思ったことなのですが、文学に興味があるやつを大雑把に分けると、“小説向き”の人間と“詩向き”の人間がいるのだと悟ったのです。そして、今、自分は“詩向き”の人間だと思っているわけです。
でも、正直言って、今、壁にぶち当たっています。詩が書けないというよりも、現代詩というものが一体何なのか、訳が解らなくなってきてしまっているのです。ですから、復刊する「厠の中」には、詩そのものより、「詩を創作することに関する感想文」みたいなものを沢山かくことになるかもしれませんが、それはそれで良いのではないかと自分では思うわけです。
以上が、僕の還暦にあたっての志です。どうか宜しくお願いいたします。